そのような時代に、「薬局として生き残れる」には、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要とされています。
当サイトでは、調剤薬局のDXには欠かせない「電子薬歴」にスポットをあて、数々の電子薬歴の比較をしていきます。
薬歴とは
薬歴とは、薬剤師が患者さんひとりひとりごとに作成する、これまでに服用あるいは使用した薬についての記録です。正式には「薬剤服用歴」と言います。処方薬・処方日・服薬状況・既往歴・副作用歴・疑義照会の詳細・服薬指導内容などについて薬剤師が記載し、患者さんに安全で有効な薬の服用を行ってもらう目的で管理されます。適切な服薬指導に必須な資料であり、調剤報酬請求の根拠ともなります。
今、電子薬歴が必要とされる背景(今後の薬局の在り方)
日本では人口減少・高齢化が深刻な社会問題になっています。近年、具体的に問題になっていることは、急速な高齢化や医療技術の進歩によって増大している医療費です。この問題に対して国は、薬機法改正や調剤報酬改定を通じて、これからの薬局が持つべき機能について方向性を示しています。
厚生労働省は2025年を目途に、地域で高齢者を支援する「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。その中で薬局は、地域医療を構成する一員として期待されています。
2015 年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」では、3つの基本的な考え方、
「立地から機能へ」
「対物業務から対人業務へ」
「バラバラからひとつへ」
が提示され、各薬局には、いわゆる門前薬局の形態から脱却し、かかりつけ薬局としての服薬情報の一元的・継続管理、24時間対応、在宅医療対応、医療機関等との連携、健康サポートなどの機能が求められています。
このような複雑化していく薬局業務をDX(デジタルトランスフォーメーション)の側面から支えることができるのが電子薬歴です。
特に、薬局以外の場所からでもタブレット端末から対応できるなど、従来の「薬局内でしか使えないシステム」から脱却したクラウド型電子薬歴に需要が急速に高まっています。
なぜ、薬剤師のための電子薬歴が必要か
上述の社会問題への対応や国からの要求に対応するために、毎年、薬剤師の業務は範囲が広がり、多岐にわたっています。加えて、かかりつけ薬局や健康サポート薬局、地域連携薬局や専門医療機関連携薬局といった施策が推進されることで、薬局業務が「24時間求められる」ケースも多くなっています。
結果、「薬歴がたまる」ことにより業務時間が増え、残業や休日出勤などで疲弊している薬剤師が増えているのが現状です。
これからの電子薬歴は、そのような増え続ける業務をより効率化し、患者さんだけでなく薬剤師のQOL(クオリティオブライフ)も上げるためのツールであるべきで、それが今後の電子薬歴に求められる主要なコンセプトです。
クラウド型薬歴比較表
薬歴名 | メディクス | CARADA電子薬歴Solamichi | MAPs | Musubi | GooCo |
サービスロゴ | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
メーカー | 株式会社アクシス | 株式会社ソラミチ | 株式会社EMシステムズ | 株式会社Kakehashi | 株式会社グッドサイクルシステム |
公式サイト | https://medixs.jp/ | https://site.solamichi.com/ | https://emsystems.co.jp/ | https://musubi.kakehashi.life/ | https://goodcycle.net/ |
クラウド | ○ | ○ | ○ | ○ | △ オプションで可能 |
指導文入力サポート | ○ ※2万種類以上の指導例文 |
○ | ○ | ○ | ○ |
在宅医療報告書作成 | ○ | ○ | 掲載未確認 | ○ | ○ |
グループ集計機能 ※グループ店舗間での共有 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
処方箋ファイリング機能 ※調剤録・処方箋の画像と薬歴を紐付け |
○ | 掲載未確認 | 掲載未確認 | 掲載未確認 | ○ |
1画面入力 | ○ | ○ | 掲載未確認 | ○ | ○ |
パソコンでもタブレットでも画面レイアウトが同じ | ○ | 掲載未確認 | 掲載未確認 | 掲載未確認 | 掲載未確認 |
音声入力機能 | ○ | 掲載未確認 | 掲載未確認 | × なし |
○ |
全て自社開発 ※改善案をすぐに取り入れられる |
○ | 掲載未確認 | ○ | 掲載未確認 | ○ |
年間アップデート項目 | 約90項目 ※細かな部分も含めると500項目以上 |
掲載未確認 | 掲載未確認 | 40項目以上 ※2年で80項目以上 |
掲載未確認 |
無料デモ体験 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
遠隔サポート | ○ | ○ | ○ | ○ | 掲載未確認 |
訪問サポート | ○ ※日本各地に営業所あり |
掲載未確認 | 掲載未確認 | 掲載未確認 | 掲載未確認 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
メディクスの比較ポイント
日本で初めてクラウド型電子薬歴を開発・提供。薬局からの「こういう薬歴をつくってほしい」という要望から開発が始まったサービスです。
完全メーカー内開発なので、在宅医療の推進やかかりつけ薬局の需要拡大を受けて機能を充実させており、機能更新の頻度と量は随一です。
カスタム機能が充実していて、オリジナルテンプレートも作成可能で、その薬局のやり方や業務手法にあわせられる万能型の薬歴です。
日本各地に営業所があり、訪問サポートにも対応しています。
在宅
在宅機能が非常に充実している薬歴です。
在宅調剤や往診同行でも、外出先でのタブレットで薬歴の確認・作成が行え、訪問報告書、計画書、情報提供書などの書類作成も管理画面からタッチ入力で容易にできます。
更新ごとに在宅機能がアップデートされています。外出先からの通信はセキュリティで保護されています。
おすすめの特徴
・薬局が独自で指導文のテンプレートを作れ、店舗間の共有可能。
・画面のカスタマイズが可能。
・在宅時の報告書/計画書の作成が標準機能で搭載。
導入事例
下島調剤薬局様 | ホシミ商事株式会社フリージア薬局様 | 株式会社pharb様 |
──メディクスを選定したポイントはどこですか。
一つは薬歴の自由度の高さですね。他の電子薬歴でも、AIで指導例文をおすすめしてくれる機能を持つものもあったのですが、患者さんとのコミュニケーションで出てきた些細な情報を記録するためには、逆にそういった、指導例文を「おすすめする」機能が障害になってしまうという懸念がありました。 メディクスは、そういった意味で自由度が高く、かつ指導例文も豊富に搭載されていたので、当薬局の業務を邪魔することなく、効率化してくれると感じました。 |
──3社の電子薬歴を見られて、メディクスを選定したポイントはどこですか。
まずは見やすさですね。必要な情報が一画面で見られるので、患者さんの情報をすぐに把握することができます。 搭載されている指導例文の質もチェックしました。フリージア薬局では、SOAP形式で薬歴を作成しているので、SOAP形式で書きやすいか、しっかりとした薬歴が書けるか、それらを重視して電子薬歴を選定しました。 |
──メディクスをご選定いただいた、決め手はどこでしたか。
まず、使いやすさですね。メディクスに登録されている指導例文は、薬局の通常業務に沿った内容なので、患者さんに説明しながら、薬歴の入力をすることができます。 更に、「何を患者さんに説明・注意するべきか」を、薬剤師がチョイスして、薬歴を作成できる構成になっている点が気に入っています。ポチポチ押すだけで薬歴が完成してしまうと、薬剤師の成長も止まってしまいますから。 他にも、常に最新の添付文書が見られたり、薬の変更点がボタンひとつで記入できたり、疑義照会の記録が簡単にできたり、何でもできる優等生な電子薬歴ですね(笑)。 |
引用元: https://medixs.jp/voice/case-shimojima/ |
引用元: https://medixs.jp/voice/case-hoshimi/ |
引用元: https://medixs.jp/voice/case-pharb/ |
お問い合わせ先
CARADA電子薬歴Solamichiの比較ポイント
シンプルでわかりやすさを重視した電子薬歴です。文章を自動作成してくれる指導ナビは特許出願中。自動で作成された指導文にチェックを入れて反映するだけで、簡単に薬歴を作成できます。
投薬から薬歴までの一連の流れがわかりやすく、基本事項は文章を打たなくても入力が可能です。
音声入力もオプションで付けることができます。
薬剤師の経験値にとらわれない薬歴の内容の均一化を推進し、「地域のみなさまに愛される薬局づくりを応援する」というコンセプトになっています。
在宅
契約書や重要事項説明書をワンクリックで印刷でき、主治医やケアマネージャーへの報告書も項目入力だけで作成可能です。
日付や患者情報などが薬歴とのリンクで自動転記されるようになっています。
おすすめの特徴
・自動で指導文を作成してくれるナビゲーション機能。
・音声入力もオプションで付けることが可能。
・後発の強み。
・
導入事例
しま調剤薬局様 | ほりい薬局様 | 有限会社岐東薬局様 |
──電子薬歴が『CARADA 電子薬歴』に切り替わりました。切り替えの連絡を受けてどう思われましたか。
以前使用していたレセコン一体型の電子薬歴は、情報の処理速度や操作性の面でも使いづらさを感じていたので、切り替えによって業務が効率化されることを期待しました。 ──切り替えから3か月ほど経ちました。実際に使ってみていかがですか。 クラウド型の利点だと思いますが、以前と比較すると情報の読み込み速度が断然早くなりました。画面の前で待たされることがありません。入力できる機器も台数制限がないため増えました。 |
──21年夏に『CARADA 電子薬歴』を導入しました。きっかけを教えてください。
ソラミチシステムから連絡をもらったことがきっかけです。実際にデモを見せてもらって、薬歴作成が楽になるだろうなと思いました。ただ一方で私に使いこなせるのだろうかという不安もありました。多少の心配はありました(笑)。ただ私としては、薬歴を手書きで作成することに疲れていましたし、内容を充実させないといけないと考えていたので、導入を勧めました。一連の操作を見た限り、これまで見てきた電子薬歴に比べて、年齢が高い薬剤師やパソコンが苦手な薬剤師でも使いやすいのではないかとも感じました。 |
──『CARADA 電子薬歴』を選んだ経緯を教えてください。
当初考えたのは、会社員時代に使っていたレセコン一体型の電子薬歴でした。しかし、導入するとなればレセコンも変更しなくてはならずコスト面から断念しました。そのような状況で、卸の方から勧められたのが『CARADA 電子薬歴』でした。 ──導入は即決だったのですか。 卸の担当者とは信頼関係がありますし、とくに他社との比較はせずに決めました。クラウド型なので在宅訪問で持ち運びができる点が大きかったと思います。 |
引用元: https://site.solamichi.com/interview/46 |
引用元: https://site.solamichi.com/interview/45 |
引用元: https://site.solamichi.com/interview/44 |
お問い合わせ先
MAPsの比較ポイント
MAPsは、レセコンと電子薬歴とが一体化した電子薬歴です。新しいタイプの「薬局業務支援システム」と謳われています。
機械学習機能が処方箋情報により患者病名を推論し、処方・患者情報・推論病名を基に服薬指導文章を提案します。
患者情報・処方内容・推論病名をもとにシステムが提案する服薬指導文を選択して、薬歴画面に保存させることができます。
必要に応じて保存した文章を編集して、さらに充実した薬歴を効率的に作成することができます。
在宅
クラウドシステムにより、「端末の機材調達」、「局内/局外等のロケーション」のフリーを実現しました。
通信環境があれば、局内で使用しているPC・タブレットを持ち出して、在宅訪問先で薬歴閲覧・操作が可能です。
おすすめの特徴
・レセコンと電子薬歴との一体化。
・医科を中心とした調剤・介護/福祉との情報連携がシームレスに連携。
・操作習得/設定等のサービス費を必要分のみ購入するセルフサービス化を採用。
導入事例
掲載未確認
お問い合わせ先
Musubiの比較ポイント
既存の枠にとどまらず「薬局体験アシスタント」としての新しい価値観を提示する電子薬歴です。この薬歴の「哲学」や「流れ」に薬局があわせていくタイプのシステムです。
患者さんにタブレットを見せながらの服薬指導が基本で、独自の生活指導機能により、患者さんに健康アドバイスも行えます。
デジタルの力で薬局の経営・業務そのものを変革することを目指しており、クラウド型電子薬歴の中では最も個性のあるサービスです。
セミナーや勉強会にも力を入れています。
在宅
完成した薬歴から在宅報告書を作る機能があります。シンプルで重要なことを、わかりやすいかたちで示す報告書が作れます。
おすすめの特徴
・タブレットを患者さんに見せながら薬歴を作成可能。
・独自の生活指導機能で健康アドバイスを補完。
・勉強会の開催多数。
導入事例
てまり古府薬局様 | 株式会社コメヤ薬局様 | 株式会社サエラ サエラ薬局様 |
──Musubi導入後6か月後ごろには、どんな変化がありましたか?
半年経ったころには、明確に薬歴の記載時間が減りました。そして、薬歴に記載する情報のボリュームがあがり、質が向上しました。これまでは「薬歴……すぐに書かなきゃ……」とわかっているけど、他の業務を優先してしまい後回しにしてしまうことがあったのですが、Musubiは服薬指導をしながら薬歴の下書きがタッチ操作で書けるので、精神的負担が減りましたね。薬歴を書いている途中でわからない薬剤情報や副作用があっても、Musubi内で最新の添付文書や副作用についての情報が確認できるので、知識のアップデートにも活用しています。 |
「変わっていきながら、でも変わらず患者さんの近くにいたい」
コロナ禍を経て、調剤薬局やドラッグストアのトレンドが「一斉に」変わった……そんな印象を持っています。門前から家の近くの薬局へのニーズが加速している傾向もありますし、リフィル処方がはじまれば、その動きはさらに強くなると感じています。大手ドラッグストアの攻勢など変化の大きい時代ですので、調剤薬局という枠にとどまらず、生活に密着した医療従事者のチームとして、地域に根付く存在でありたいと考えています。Musubiを使った服薬指導の標準化を進めつつ、一人ひとりの患者さんとのつながりを大切に……その実現のためにも、とにかくMusubiを使い倒していきます。 |
「患者さんと薬剤師をつなぐ健康アドバイス」
みんな「これは絶対、患者さんに言いたい」っていう好きなアドバイスがあるんですよね。私は「冷蔵庫で保管してください」のアドバイスが大好きで、よく使っています(笑)。私たちがいつも指導していることが、健康アドバイスでカバーされているんです。もちろんアドバイスを通じて私たち自身が学ぶことも多いんですけど、目新しいことばかりではなく、これまでも当たり前にお伝えしてきたことをちゃんとコンテンツとして押さえてくれているのがありがたいです。 |
引用元: https://musubi.kakehashi.life/case/211130-temari |
引用元: https://musubi.kakehashi.life/case/211130-komeya |
引用元: https://musubi.kakehashi.life/case/210817-saera2 |
お問い合わせ先
Goocoの比較ポイント
2012年、「薬剤師の業務は忙しい、この業務にiPadが使えたら良いのでは?」という考えから、iPadでの操作性を重視した電子薬歴として生まれました。
iPadで使うことを前提につくられたユーザーインターフェースならではの使いやすさがあります。
動画によるマニュアルも充実しています。
在宅
もともとの設計思想がiPadで動くことを想定しているので、訪問の際も簡単に持ち出して、その場で薬歴記入ができます。
iPadからいつでもどこでも。場所を選ばず、複雑化する薬局業務を効率化させてくれるでしょう。
おすすめの特徴
・iPad主体の設計思想。
・薬歴記載の省力化に重点。
・わかりやすい動画リソースが充実。
導入事例
みなみの薬局様 | スター調剤薬局様 | はなのゆ薬局 |
──経営者としてだけではなく、TED×kagoshimaオーガナイザーや起業家の支援など、さまざまなフィールドで積極的に活躍している原崎さん。実は、原崎さんはグッドサイクルシステムの遠藤 朝朗とも10年来の知り合いでした。
原崎さん「GooCoの“サッと入力”は僕が言ったことが形になっています」 電子薬歴の中には、SOAP形式(「S(subjective):主観的情報」「O(objective): 客観的情報」「A(assessment): 評価」「P(plan): 計画(治療)」の4つの項目に分けて記録する方法)で、記入欄がはじめから決まっています。 それぞれの項目に書いていくタイプのものがあり、そのやり方は、負荷がかかると、GooCo開発時には薬剤師としてシステムに対しアドバイスをしていました。 |
──他社製品も多数出ている中で、スター調剤薬局が、GooCoPOSを採用する決め手になったのはなんだったのでしょうか?
大堀さん「大手を含め複数のPOSレジを検討しましたが、その中でも最もレセコンとの互換性が高かったのがGooCoPOSでした。薬歴システムを手がけているので、薬局システムへの理解が深いことが優位性につながっているのだと感じました」 実際に、患者さんの会計やレジ締めをしている南竹さんは、POSレジ導入による運用負荷の軽減を実感していると言います。 |
──「はなのゆ薬局」では、大画面のデスクトップPCでGooCoを利用。サマリ・今回処方・監査情報・指導歴といった、患者さんの情報をひと画面で把握することができて便利だと吉脇さんは言います。
吉脇さん「時間がなく、急いでいる患者さんにとってはスピーディな投薬というのもひとつのサービスになります。 GooCoは、チェックする項目や重要な情報を一目でチェックできるので、処方箋の受付けから、投薬までを効率的に進めることができますね。併用禁忌や注意の薬が色分けされているのもいいです。スピードを損なわず、的確な服薬指導をするのに役立っています」 薬歴には症状や薬のことだけでなく、患者さんと会話した内容も細かくメモするようにしています。 |
引用元: https://goodcycle.net/gooco/voice/voice14/ |
引用元: https://goodcycle.net/gooco/voice/voice13/ |
引用元: https://goodcycle.net/gooco/voice/voice12/ |
お問い合わせ先
クラウド型電子薬歴一括お問い合わせ
上述、クラウド型電子薬歴5社のお問い合わせ・資料請求ページをまとめました。
これら5社からまずは資料を比較したい、というときなどにお使いください。
● お問い合わせ文例
このたび、新しい薬歴の導入にあたり、御社のサービスを検討しております。
恐れ入りますが、資料のご送付をお願いできませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
・メディクス(株式会社アクシス)
・CARADA電子薬歴Solamichi(株式会社ソラミチ)
・MAPs(株式会社EMシステムズ)
・Musibi(株式会社Kakehashi)
・Gooco(株式会社グッドサイクルシステム)